数ある助成金の中でも、比較的取り組みやすく、弊所でも実績の多い「キャリアアップ助成金 正社員コース」ですが、11月29日より要件緩和・拡充といった内容の変更発表がありました。
キャリアップ助成金 正社員化コースとは?
キャリアップ助成金 正社員化コース とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者など、いわゆる非正規労働者と言われる方のキャリアアップ促進の為の助成金で、6か月以上雇用している前述の労働者を自社の正社員へ転換すると申請・受給の可能性があります。
転換する前には就業規則の作成や転換制度の規定、労働局へ計画書の届出など、取り組むべきことはいくつかありますが、就業規則の見直しなど社内制度を整えていくことで申請が可能な為、比較的活用しやすい助成金となります。
ほぼ毎年改正などもありますが、今回の変更点を見ていきたいと思います。
①1人当たりの助成金額の見直し
正社員転換1人につき支給される金額が見直されます。
これまでは、正社員転換後6か月継続雇用・賃金支給後、57万円の助成額でしたが、変更後は、正社員転換後6か月継続雇用で40万円、さらにその後6か月継続雇用で40万円、合計で80万円となります。(大企業は60万円)
正社員転換後1年間継続雇用すれば、80万円となります。申請も6か月ごとに行う為、変更後の申請は2回行うことになります。ですので、転換後6か月後の40万円申請後、どうしてもその方が退職された、などの場合は2回目の申請はできず、40万円の助成額となります。
②対象となる有期雇用労働者の要件緩和
対象となる有期雇用労働者の要件が緩和されます。
これまでは有期契約雇用で6か月以上3年未満の従業員が対象でしたが、変更後は6か月以上となります。
但し注意点として、有期雇用期間が5年を超えた場合、法律的に本人が希望すれば無期雇用への転換が可能となりますので、実質的に5年以上は無期雇用とみなされます。その為、5年を超えた従業員を正社員転換する際は、「無期→正規」の助成対象となり、金額が半額となります。
③正社員転換制度の規定に関する加算措置
この措置は新たな措置となります。
就業規則に正社員転換制度の規定が必要ですが、これまでにそういった規程がなく、新たに就業規則を改訂し規程した場合、1事業所あたり1回のみ、「20万円(大企業の場合15万円)」の加算申請が可能です。これと合わせると、事業所として1人目の正社員転換申請であれば、①の80万円+③の20万円で合計100万円の助成額となります。但し、「計画期間内に転換制度を新たに規定した場合」に加算申請可能なので、取り組む際には計画書の届出のタイミングなど、注意が必要です。
④多様な正社員制度規定に関する加算措置
多様な正社員転換規程を新たに規定し転換した場合の助成が、下記のように拡充されます。
通常の正社員だけでなく、多様な正社員の働き方を選択できるよう規定をした場合に加算されます。「多様な正社員」とは、いわゆるフルタイム・転勤の可能性あり、などの正社員だけでなく、勤務地限定・職務限定・短時間正社員など、待遇面(賞与や退職金、社内評価など)などで通常の正社員と変わらず、個人に合わせた働き方で正規雇用とすることをいいます。
1事業所につき1回のみとなりますが、新たにこの制度を規程した場合、現行の9.5万円の加算から、「40万円(大企業は30万円)」へ拡充されます。③と同じく、①の転換と同時申請で、①の80万円+④の40万円で合計120万円の助成額となります。
①+③と、①+④での申請が可能ですので、通常の正社員と多様な正社員各1名が対象で申請した場合は、合計「220万円」を受給できる可能性があります。ただし、全ては計画書の計画期間と就業規則への転換制度の規定のタイミングによりますのでご注意ください。
助成金についてはもちろん上記以外も対応可能ですので、こんな助成金があると聞いた、新しく採用を考えている、などご質問ありましたらご遠慮なくお問合せください!
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」