労災事故が起こりやすい建設工事現場ですが、安全衛生管理を徹底・対策をして事故が起こらないように気をつけている会社がほとんどだと思います。しかし年末・年度末など、慌ただしい日が続くと安全衛生管理が徹底されていない恐れがあります。
そこで、近畿2府4県(大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山)の労働局が、昨年12月に一斉監督を実施しました。
その結果が公表されていますのでご紹介します。
一斉監督の結果
1 対象 大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山の各府県の建設等工事現場 2 期間 令和5年12月 3 実施結果 ①監督実施580現場の内351現場(60.5%)において労働安全衛生法違反が認められ、是正勧告等を行った。 ②主な法違反は、 ・足場や作業床からの墜落・転落防止に関する違反(498事業場) ・安全衛生管理面に関する違反(276事業場) ③違反が認められた351現場のうち、労働災害の急迫した危険が認められた82現場に対して、作業停止等を命令する行政処分を行った。 ④監督実施580現場のうち100現場(17.2%)において、「工期にゆとりがない」との回答があった。 |
結果としては、半数以上が何らかの違反と認められたというかなり厳しい形となりました。もちろん、人手不足や④の回答のように工期にゆとりがなく、安全面よりも工期内に完了させる事を優先したなど様々な要因はあるかと思います。
ただ、会社としては従業員の安全配慮義務と、法律順守の立場から、なんとか対策を練らなければなりません。
労働局の取り組み
上記の結果を踏まえ、労働局としても引き続き、
①監督指導を実施するとともに、法違反を繰り返す事業場や法違反を原因として重大な労働災害を発生させた事業場等に対しては送検手続をとるなど厳正に対処します。
②石綿障害予防規則により義務付けられた解体工事開始前の石綿の有無に係る調査を実施しないまま工事が行われている場合には、関係行政機関と連携して同種事案の防止を図るとともに、悪質な事例に対しては送検手続を取るなど厳正に対処します。
また、「工期にゆとりがない」との回答割合が17.2%となっていることを踏まえ、建設業における労働災害の防止及び働き方改革の推進の為、発注者に対して「適正工期の設定」についての一層の普及を図ります。
と発表しています。
是正があったにも関わらず、法違反を繰り返すなどの事業場には、更に厳しい措置が取られる可能性もあります。
ただ、工期のゆとりに関しては、発注者へも「適正工期の設定」の普及を図るとのことですので、期待したい所です。
今後の対策
法違反とならないためには、人手不足の解消なども必要です。特に建設関係の企業では雇用はするものの、すぐに退職してしまう、などお困りの方も多いかと思います。採用・定着についても就業規則の作成などでカバーできる部分があるかもしれませんし、もちろんその他労務相談で解決できる問題もある可能性があります。
そういった所で私たちがお役にたてることもあると思いますので、そんな時はぜひご連絡ください!現状の問題を解決に導ける様、一緒に考えていきましょう!
参考資料:大阪労働局 報道発表資料